なかなか気づけない歯周病……どう進行していくの?
皆さん、こんにちは。
上尾市の麻生デンタルクリニックです。
歯周病は、サイレントキラーといわれる静かに進行する病気です。
初期段階では自覚症状が少なく、気付いたときには歯がグラグラして抜けそうになるほど悪化していることも珍しくありません。
そうはいっても病気が進行しているのですから、全く症状がないわけではないのです。
どのように進行していくのかを知ることで、わずかな症状を察知し、歯周病の予防や早期発見に役立てませんか?
麻生 明伸 院長
医院名:麻生デンタルクリニック
所在地: 〒362-0001 埼玉県上尾市大字上824-3
監修者:麻生 明伸 院長
Contents
歯周病は歯を失う原因ナンバーワン!
歯を失う原因には大きく分けて2つあります。「むし歯」と「歯周病」です。
若いころはむし歯で歯を失うことが多いのですが、年を重ねると歯周病を原因とするケースが増えます。
平均すると、歯を喪失する原因は、歯周病がむし歯を上回るナンバーワンであることがわかっています。
歯周病はどう進行していくの?
歯周病の始まりは、歯磨き不足です。
歯周病は、細菌のかたまりである「歯垢」を除去しきれておらず、磨き残しが蓄積されて起こる感染症なのです。
【軽度の歯周病】歯ぐきが腫れる
歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目にたまった歯垢が歯石化し、硬くなってしまい歯磨きでは取り除けない状態になります。
そうなると、やがて歯ぐきが腫れるようになります。
この段階では、まだ痛みが少ないため放置されてしまいがちです。
【中度の歯周病】歯周組織が破壊される
歯周組織が破壊されはじめ、歯を支える骨「歯槽骨」や線維組織「歯槽膜」などが溶かされていきます。
歯と歯ぐきの境目の空間「歯周ポケット」が広がり、歯磨きでは取り除けない歯石がどんどん蓄積します。
【重度の歯周病】歯がグラグラする
歯を支える骨「歯槽骨」や線維組織「歯槽膜」の破壊が進み、歯を支えられなくなってグラグラします。さらにひどくなると、歯が勝手に抜け落ちてしまうこともあります。こうなってくると、抜歯という診断に至るケースが増えます。
歯周病が全身の病気を引き起こす!?
歯周病はお口だけの病気というイメージがあるかもしれませんが、実はそうではありません。
歯周病が重度になると、お口の中の細菌が増殖し、血管や気管に入り込み、そこから全身疾患を引き起こす恐れがあります。
【歯周病が引き起こす病気(1)】動脈硬化
歯周病菌がつくる毒性物質が血管に入り込むと、動脈硬化が誘発されて血流が抑制されてしまいます。
それが原因となり、心臓や脳などの重要な器官でさまざまなトラブルを起こします。
【歯周病が引き起こす病気(2)】心臓疾患
動脈硬化が進み血流に異常がでると、心筋に血が巡らなくなり命に関わる事態につながります。
動脈硬化は生活習慣病といわれ、運動不足や食生活の乱れによるものとされていましたが、近年の研究では歯周病菌の感染によって発症することにも注目されています。
【歯周病が引き起こす病気(3)】脳血管疾患
歯周病菌の影響で動脈硬化が進むと血栓ができて脳の血管が詰まり、脳梗塞を引き起こします。
歯周病をきっかけに、命を落とすリスクがある重篤な疾患につながるのです。
【歯周病が引き起こす病気(4)】誤嚥(ごえん)性肺炎
誤嚥(ごえん)とは、飲み込み方を誤って食べ物や唾が気管へ入り込んでしまう状態を指します。その際、食べ物と唾と一緒に口内の細菌が肺まで辿り着いて感染すると、誤嚥性肺炎を発症するのです。
主に、飲み込む力が低下しているご高齢の方や、脳梗塞などの後遺症がある方に起こりやすい病気です。
予防のためには、口内を清潔に保ち、飲み込む力などのお口の機能をトレーニングして衰えさせないようにするといいでしょう。
【歯周病が引き起こす病気(5)】早産・低体重児出産
妊娠中の女性は、女性ホルモンが急激に増える影響で口内環境が悪化しやすいという特徴があります。
中でも、歯周病菌のプレボテラ・インターメディア(P.i.菌)という種類は、女性ホルモンが大好物です。妊婦さんの女性ホルモンの分泌量は、通常の30倍まで増えますから歯周病菌が繁殖するのにうってつけの環境となります。
放置していると血管に入り込んだ毒性物質が子宮の収縮を促進させ、早産・低体重児出産のリスクを高めるのです。
【歯周病が引き起こす病気(6)】糖尿病
歯周病は糖尿病の合併症のひとつで、歯周病になると糖尿病が悪化します。
逆に、歯周病を治療すると糖尿病の改善にもつながるという相互関係にあることがわかっています。
【歯周病が引き起こす病気(7)】認知症
歯周病の3大原因菌のひとつであるポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g.菌)は、アルツハイマー性認知症のトリガーとなる可能性があることが、近年のさまざまな研究によって明らかになっています。
あなたは大丈夫?「歯周病セルフチェック」
初期の段階では気づきにくい歯周病ですが、下記のようなサインがでています。知らず知らずの間に歯周病を発症していないか、セルフチェックしてみましょう。
- 起きたとき、口内がネバネバしている
3>
ひとつでも気になる項目があれば、歯周病を発症している可能性があります。お早めに歯科を受診してください。
歯周病で歯を失ったり、全身の病気に発展したりすることのないよう、早期発見・早期治療を心がけましょう。
▼口臭が気になる方はこちら▼
「口臭が気になるのは歯周病のせい?」
歯周病はどうやって治すの?~歯周病を改善する方法~
歯周病を改善するためには、歯科での治療と同時に、自宅でのセルフケアにも力をいれる必要があります。
【歯周病を改善する方法(1)】歯磨きを徹底する
なんとなく歯を磨くのではなく、歯垢の除去という目的を意識した歯磨きを行いましょう。
歯ブラシ1本だけでなく、デンタルフロスなどの歯間ケア専門のアイテムをプラスすることがコツです。
食後はもちろん、寝る前の歯磨きを大切にしましょう。
▼正しい歯磨きの方法を知りたい方はこちら▼
「むし歯予防の効果アップ!寝る前の歯磨きに歯間ケアグッズを取り入れよう」
【歯周病を改善する方法(2)】食生活の改善
食べながら仕事や家事をするなど、ダラダラと飲み食いを続けていませんか?
そんなよくない食生活が習慣化していると、むし歯や歯周病の発症を食い止められません。食べる時間をきちんと決めて、口の中に食べ物がない時間をなるべく長くしましょう。
砂糖が入った甘いドリンクを飲み続けるのも、ダラダラ食べているのと同じです。水分補給のための飲みものは、砂糖が入っていない水やお茶を選びましょう。
【歯周病を改善する方法(3)】定期的なメンテナンス
歯の健康を保つためには、歯科での定期的なメンテナンスが欠かせません。
歯磨きをどんなに丁寧にしても、歯ブラシの毛先がとどかない場所に歯石が蓄積し、そこを温床として歯周病菌が繁殖するからです。
通院の頻度は、お口の状態に応じて異なります。
歯周病の症状が改善するまでは1・2週間~1カ月に1回程度の高頻度でも、口内環境がよくなるに従って通院の間隔が広くなっていきます。
健康な状態になっても、半年~1年に1回は歯科のクリーニングを受けて、蓄積した歯石を除去しましょう。
それが、歯周病を予防し、かけがえのないご自身の歯を長持ちさせるコツです。
▼歯科のメンテナンスについて知りたい方はこちら▼
「むし歯予防のためのプロケアについて」