歯を失った、入れ歯が噛めない、ブリッジが傷んできた……
歯を失った時の治療法としてインプラントと比較される入れ歯やブリッジは、保険適用内でも治療できますが、どうしても違和感を覚える方が多いものです。その点、インプラントには、最大のメリットとして「今までの生活とほとんど変わりなく過ごせる」という特徴があります。また、メンテナンス次第では半永久的な使用も可能です。
インプラントは、予算と時間に余裕がある方におすすめの治療法です。インプラントを入れた後も他の歯と同様にメンテナンスが必要です。人工物だからといって、歯周病リスクがない訳ではありませんので、注意しましょう。
人工物のインプラントも歯周病になります。インプラント周囲炎と呼ばれ、通常の歯周病の約10倍の速度で進行します。インプラント周りの歯肉の炎症や骨が無くなり、最悪の場合インプラントが抜け落ちる可能性もあるのです。また、インプラントだけではなく隣接する天然歯にも悪影響を及ぼします。
審美目的ではなく、失った歯の機能を補うためのインプラント治療であれば、医療費控除の対象になります。ご家族合わせて、1年間の医療費の合計が10万円を超えている場合に、控除が受けられます。医療費控除は、毎年2月16日~3月15日に、税務署へ確定申告と医療費控除の明細書を申告すると受けられます。(前年の1月~12月分の医療費合計)
失った歯を補う方法として、「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」の3つの治療が挙げられます。見た目・噛みやすさ・他の歯への負担・耐久性を詳しく見ていきましょう。
見た目はほとんど天然歯と変わりなく、人目を気にする必要はありません。インプラントは、骨と結合できるため硬い物も今まで通り噛むことが可能です。治療中・後も他の歯への負担は無く、メンテナンス次第では、半永久的に使用できます。
見た目は、保険・自費によって目立つものから天然歯に近い素材まで幅広いです。失った歯以外にも治療するため、健康的な歯を削らなくてはならないリスクがあります。同時に、健康的な歯の寿命も縮めてしまう可能性もあるのです。また、支えとなる歯には負担がかかり、噛む力が弱くなります。
金属を使用する場合は、部位にもよりますが目立ちます。また、入れ歯を支える歯に負担がかかるため、健康的な歯の寿命が短くなります。噛む力は、本来の3分の1程度と一番低いです。さらに、口内は日々変化するため、入れ歯を作り替えないといけない可能性もあります。
インプラント | ブリッジ | 入れ歯 | |
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見た目 | 本物の歯と見た目が変わらないので、周りの人が見ても人工の歯だとは気づかれにくいです。 | 使用する素材によって目立ってしまう場合があります。本物の歯のような見た目に近づける場合、自費診療の中で素材を選択する必要があります。 | 金属のバネなど、使用する素材によってはお口の中で目立つことがあります。 |
噛みやすさ | 顎の骨にインプラントが結合しているので、揺れたりすることがなく、本物の歯とほぼ同じ感覚で噛むことができます。 | ブリッジをかけている歯が弱くなってしまうと、噛む力も弱くなっていきます。 | 本物の歯と比べて噛む力は弱く、約1/3程度です。 素材によっては食べ物の温度を感じなくなるので、食事の味覚も減退します。 |
他の歯への負担 | 治療の際にも、他の歯には負担をかけません。 | 補う部分の両側にある歯を削ってブリッジを固定します。その際に支えとなる歯に負担がかかります。 | 金属のバネをかける場合、歯を削ることがあります。 また、着脱する際にバネが引っかかってお口の中をケガすることもあります。 |
耐久性 | 自宅でのケアや定期的に歯科医院でメインテナンスを行うことで、半永久的にご使用いただけます。 | ブリッジの支えとなっている歯の寿命を短くしてしまう恐れがあります。 | 定期的に調整や作り替えをする必要があります。 |
インプラントを入れたい希望部位の確認、他に気になる口内トラブルが無いか等をおうかがいします。
レントゲン・CT撮影・視診などを行い、周囲の骨や歯周組織の状態を確認します。
インプラントの本数やインプラントの埋入位置を決めていきます。最終的な人工歯が入るおおよその時期も分かります。治療後の経過をよくするために、歯周病の症状があればインプラント治療の前に優先して治療を行います。
歯肉をメスで切り開き、インプラント体(歯の根っこ部分に値します)を埋入していきます。静脈内鎮静法や局所麻酔を施して行います。クリニックの滞在時間は、半日程度かかります。
インプラント体と骨が結合するまで、3カ月~6カ月待ってから、再度歯肉をメスで切り開きます。人工歯とインプラント体を繋ぐ役割のアバットメントを付けます。型取りを行い、最終的に人工歯を付けます。場合によっては、仮の歯を入れる方も見えます。
噛み合わせなど普段の生活に問題がなければ、定期健診に移ります。
人工歯だからと安心せず、他の天然歯と同様に定期健診・メンテナンスを受けましょう。歯科で、プロによるインプラント部分の清掃を受けることで、インプラント周囲炎などのトラブルを回避できます。また、インプラントに合った清掃用具や清掃の方法など、ホームケアに役立つアドバイスも行っています。 適切なメンテナンスができるようサポートしますので、インプラントを長く健やかに保って快適な暮らしを楽しんでください。